花の散歩道 庚申山 こうしんやま(1892m)

庚申草 (タヌキモ科ムシトリスミレ属)
国の特別天然記念物




関東地方北部の深山の湿った岸壁に生える。



6月下旬、奇岩怪石と庚申信仰修験者の山で知られた庚申山へ登る。目的は深山の湿った岸壁に生えるコウシンソウを見るためである。

食虫植物でもある珍しい花を求めて険しい岸壁に挑む。



皇海山すかいさんや庚申山登山の拠点となる庚申山荘


自宅(3:00)〜銀山平(6:30)〜一ノ鳥居(7:30)〜二ノ鳥居(8:40)〜庚申荘(9:10)〜大体内(10:15)〜コウシンソウ自生地(10:35〜10:50)〜庚申山山頂(11:05〜13:30)


6月下旬、台湾あたりに台風があるが、本土にはさほど影響が無く幸いにも梅雨前線が下がり週末は天気が良さそうだ。梅雨の合間の晴天を利用して庚申山に登ることにした。

クリックすると拡大します。 @ 庚申山の板碑

登山を決断すると前日からそわそわ落ち着かない。今回は6月に開花するコウシンソウの花を見るのが目的であるがアマチュア無線も欲張って行程に入れた。そんなこともあり30リットルのハイキング用リュックサックでは装備品が多く大きく膨らんだ。背負ってみると背中に一斗缶を背負っているようだ。

当日の朝方の暗いうちに川越市を出発した。熊谷市の荒川大橋あたりから少し明るくなりまだ交通量が少ない。川島町と妻沼町、太田市のスピード取締りのオービスに注意して80キロぐらいで突っ走った。

渡良瀬渓谷沿いの緑市(旧大間々市)から足尾町に入り国道122号線と別れると庚申講が盛んであった時期の慶応元年に建てられた大きな庚申山碑が建っていた。ここから庚申川に沿って進む。国民宿舎「かじか荘」前の無料駐車場はすでに一杯だ。トホホ!

やむなく先へ進む。去年の初秋であるが、備前立山の登山の帰り道に下見しといた庚申山登山口のゲートの前へ行った。やはり満車であるが無理やり一台突っ込んだ。4,5台程の駐車スペースであり、もちろん青空駐車である。ラッキーとばかり一安心。時間は6時30分を過ぎている。身支度をし、早速ゲートの右から侵入し一ノ鳥居へと歩く。
クリックすると拡大します。 A ゲート
クリックすると拡大します。 B天狗の投げ石

一ノ鳥居まで約4キロメートルの距離を庚申川沿いに林道を行く。光風ノ滝の案内板を過ぎ、笹ミキ沢を過ぎると右斜面に大きな石がゴロゴロと敷き詰められた場所に出くわす。

人は天狗ノ投げ石と呼んでいる。不思議な光景であった。以前に秩父の熊倉山登山の時も同じような不思議な光景に出くわしている。

間もなく一ノ鳥居に着く。林道は終わりここから山道と変化する。近くに庚申七滝が有るが今回は見送る。いよいよ水ノ面沢に沿う樹林の中の沢沿いを緩やに登る。庚申講当時の丁石を見ながら登る。庚申講の盛んであった文久年間(1861〜64年)に奉納されたらしい。

クリックすると拡大します。 C 一ノ鳥居
クリックすると拡大します。 D 百丁目

鬱蒼と林の中から鹿や猿が遠目に姿を見るが驚く様子がない。100円ショップで購入した中身の出ないクラッカーを2連発程、パッパンと鳴らすが驚きもしない。

野生の動物達の住み家なのか分らないが人間の方がよそ者の様に感じた。

一ノ鳥居から30分の場所に孝子別れの場のいい伝えのある鏡岩が現れる。10分も歩くと夫婦蛙岩、さらに20分で仁王門の岩に出る。さらに勝道上人の碑が現れる。右側には奉納された青銅の剣がある。周囲の樹木が神社の参道らしく石段を上るとく猿田彦神社跡に来る。ここが二ノ鳥居である。

ここから100メートル左へ行き庚申山荘を見に行く。猿田彦神社奥ノ院でもある山荘で立派な宿だ。50名収容できる立派な建物でトイレ、水場があり背後には岩山がありどっしりとしている。休憩がてら寄ってみたが庭先のベンチで用を済ませただけだ。

クリックすると拡大します。 E 鏡石
クリックすると拡大します。 F 夫婦蛙石
クリックすると拡大します。 G仁王門











クリックすると拡大します。 H 勝道上人の碑
クリックすると拡大します。 I 青銅の剣
クリックすると拡大します。 J 猿田彦神社跡











二ノ鳥居に戻り、右に入る。お山巡りコースを見送り直ぐ先に旧庚申山荘跡あり、ここから庚申山の登山道が続く。しばらくは笹の斜面をゆっくりと上る。やがて目の前の大きな岩盤に出る。ホールの天井の様な岩盤から雫が雨の様に落ちる。岩の壁にへばりついて咲いている花がある。コウシンコザクラだそうだ。小さいピンク色の花で庚申山の固有種だそうだ。

見上げるような岩盤の下から上方へ進むと今度は鉄梯子のかかる初の門へ着く。これをよじ登ると展望の良い絶景が見えてきた。東方の前日光や鹿沼方面である。高度もかなり上がり、ボンテンの岩に差し掛かる。切り立った岩盤に僅か30センチ余りの足場をのこし2本の鎖で渡る。その先には再び鉄の梯子が待っている。

先には一ノ門がある。里見八犬伝では「第一の門」と称されるところだ。この一ノ門の真下に岩があり、これが「かえるの番人」らしい。いったん展望の良い場所に出る。さらに進むとお山巡りと山頂への分岐点にさしかかる。

さらに岩穴の中を潜り、崩れかかったガレ場を上り、急登を過ぎるとコウシンソウの自生地へ着く。山道から左に入った崖の斜面に自生している。6月下旬であったが咲いていた。早速、オークションにより1000円で落札したカシオのデジカメで撮りまくった。ピンボケも含めて一枚ぐらいは良いのがあるだろう。自分自身がボケかけているのであまり期待はできないが300枚程撮っていた。

コウシンソウの一人撮影会も終わり一路、庚申山の山頂をめざす。笹の斜面を進むと平らになりコメツガやシラビソの原生林の樹林に囲まれる。足元には笹が生え山頂は展望がない。50メートル先の展望台まで移動し、松木沢に切れ込む皇海山や鋸山へ続く鋸十二帽の峰、遠く日光連山、袈裟丸連峰を見て楽しんだ。

クリックすると拡大します。 笹の斜面
クリックすると拡大します。 巨岩の壁
クリックすると拡大します。 初の門











クリックすると拡大します。 東方の展望
クリックすると拡大します。 ボンテンの岩
クリックすると拡大します。 崖の鎖











クリックすると拡大します。 鉄梯子
クリックすると拡大します。 一ノ門
クリックすると拡大します。 分岐点











クリックすると拡大します。 岩穴を潜る
クリックすると拡大します。 コウシンソウ自生地
クリックすると拡大します。 見晴台











展望を楽しんだ後はアマチュア無線運用になる。430MHz帯FM、出力100ミリワット運用である。アンテナはコーリニア21段全長5メートル。これをカメラの三脚に設置する。北西が開けているが0と7エリアは局数が少なくVU帯は不利である。埼玉県、東京都、神奈川県の南東方面は樹林に囲まれるが、変調が比較的良く飛んだ。驚きである。

坂戸市からUJXさん、八王子市からXEPさん、横浜市からMYPさん、ホームの川越市からITMさん、加須市からUXJさん、相模原市からお馴染みの半分の田んぼのNAEさんが繋いでくれた。さらに八王子市からLFPさん、野田市からお世話になっているICXさん、相模原市からCKUさんが取ってくれた。共に良いレポートを頂き有難うございました。

ハンディー機VX−3による100ミリワットQRPP運用は前日にツイッターでアナウンスした為、大成功であった。今後とも各局長さんよろしくお願いします。

無線を切り上げランチタイムである。鍋で水を沸騰させラーメンを煮る。保冷袋から玉ねぎとネギを取り出し生卵を1つ鍋の中に落す。標高1800メートルであったが気圧の影響もなく麺が良く煮えた。最後に自家製の柚子唐辛子をたっぷり入れて出来上がり。鍋から直接に割り箸を入れて食べる。お結びも一緒に食べる。以前はカップラーメンが主流であったが乾麺を煮て食べた方が一段と美味しい。麺の汁を全て飲み干し片付けが終わり同じ道を下山した。



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庚申山周辺の草花など
コウシンソウ(庚申草)はタヌキモ科ムシトリスミレ属の日本固有種で食虫植物。学名はPinguicila ramosa Miyosi ex Yatabe。絶滅危惧で1890年に三好学により栃木県の庚申山で発見、山の名前をとってコウシンソウと命名される。

自生地は栃木県の庚申山、男体山、女峰山及び群馬県の袈裟丸山で、本種は庚申山の物で国の特別天然記念物でもあり貴重なものであるる。生育地は標高1800メートル付近の垂直な崖で、寒冷多湿で霧に覆われやすい環境に生育する。気温が25度を上回らない高地であることが条件である。 群落を形成するのは庚申山のみで、垂壁や崖等の危険な場所にある。

葉はロゼット状に広がり直径が3センチ以下、6月から7月になると5センチ程の花茎を出し薄紫色の直径5から7ミリ程の花をつける。食虫植物で葉や茎径から分泌した粘液で虫を捕え消化吸収し栄養分としている。写真は小さな虫を捕えている。



コウシンコザクラで庚申山に咲く固有種らしいが詳細は不明。

ヒメムヨウラン(姫無葉蘭)でラン科サカネラン属、針葉樹林内に生え、葉緑素を持たず腐生植物である。草丈は約10〜20センチ程、花期は6月から8月頃、分布は北海道、本州は北部、中部地方である。花序は3ミリ程度で極小さい。

左はヤハズハハコでキク科ヤマハハコ属、山地に生える多年草で花期は8から10月頃。右はオオヤマオダマキでキンポウゲ科、距の先の形が内側に巻き込むのが特徴。

左はヒロメノトガリアミガサタケでアミガサタケ科、高さ8から16センチ程になる。食べられない。右はサルノコシカケ科でツガサルノコシカケで松類の針葉樹林に生える。昔、奥秩父の南天山でも見かけた事がある。

帰化植物友の会会員
小江戸川越周辺の草花