JF1MHNの変形Wループアンテナ

帯鋼を利用した9エレループを紹介。題して変形Wループでブーム長を短くし1メートルに抑え、利得もありリフレクターの機能も優れる。導波器をダブルに組み合わせる画期的な方法で世界新である。

ブーム長を短縮し移動運用に適した改造を施す。長年、考えていたがふとしたことからアイデアが浮かぶ。ブームは傘の金属の棒を利用する。さらに3分割しコンパクト化に成功。

ハンディー機VX−3は給電部に直付けにする。ハンディー機と給電部の接続にはコネクターを介して繋がれるが、BNCを使い、さらにアナライザーのコネクターの頭の高さと同一の長さにし調整時のアナライザーの数値に近い性能を引き出す。



帯鋼はグローバルアンテナ研究会で配布された3ミリ幅の材料を使う。計算値より長めに切り落し調整時に1ミリ単位で切り詰めて調整する。

クリックすると拡大します。 給電部
クリックすると拡大します。 パターン図

アンテナのブームには傘の柄を利用し3本つなぎとし、全長1メートルにする。

アンテナ計算ソフトによりブームをあえて短く設定し、さらに利得を優先、F/B比が大きなるように設定、リアクタンス成分が少なくなるようにしSWRを低くするように計算する。

アンテナのインピーダンスにおいて50オームとは純抵抗分とリアクタンス成分を合成したものであるからである。測定器で50オームだからと言ってもSWRが1.0とは限らない。望ましい負荷は常に共振ではなくSWRが最低の時に限る。さらにパソコンによる計算であるが、たたき台のデータを入力しマニュアルで数値を補正する。

クリックすると拡大します。 エレメント編集

エレメント編集の図に示すようにエレメント間を接近させる方法である。作者自身エレメント編集を公開するのは滅多にないがこのアンテナの実測値を全て公開してしまった。さらにF/B比が思う様に上がらず20dB以下で苦戦する。何ヶ月か趣向錯誤したうえ25dBに押し上げる事が出来た。最終的には自動計算をさせパターン図で示すような結果となる。

組立て直後はSWRが2.1であった。これでも計算上は10パーセント程の損失でさほど問題ないと考え、栃木県大田原市の御亭山へ伝搬実験に出かける。結果は惨敗で丸坊主であった。

当日はアンテナに問題があると考えていたが冷静に考えた末、ハンディー機のVX−3側に問題が発生していた。

クリックすると拡大します。 L型雄BNCー雄SMAコネクタ

原因はハンディー機のアンテナコネクターの付け根の内側に問題あった。ハンディー機のネジを取りバラバラにする。接点の間隔が狭く長い間酷使し、高周波電流が流れる部分で腐食が発生していた。ルータの鑢で削り取り間隔を広げ短絡しない様に改造する。

問題も解決し給電部廻りを手直しSWRを1.4程に設定する。電界強度計での測定では針の振れが今までにない振れ具合でなかなかの出来栄えであった。再デビューは埼玉県入間郡越生町の野末張見晴台で行った。標高は宮本武蔵で634メートルである。スカイツリーと同じ高さである。

アンテナの制作としてはある程度熟知しているつもりであるが、それ以外に周辺の細かい部分に今回は手ほどきを託す。特に給電部廻りとハンディー機に接続するコネクター部に改良を加える。その一つにはL型の雄のBNCと雄のSMAコネクターにあった。

クリックすると拡大します。 SWR曲線
クリックすると拡大します。 F/Bと利得の関係図

変形Wル―プ9エレの性能評価について50オームインピーダンス整合はMFJ−269で確認する。

パター図において抵抗が50オームで49.964オーム、リアクタンス=j 0.074と表示されている。


クリックすると拡大します。 SWR値

データから見えてきたのはリアクタンスが0に近似しているが実際に制作した時点でアンテナ・システムのインピーダンス及び共振周波数とは限らない。

SWR曲線からヌル点を433.0MHzとし、430MHz(SWR<1.25)、435MHz(SWR<1.2)を示す。Wループ効果であろうか良好なSWRの帯域が広く設定されている。

ヌル点を共振周波数433.0MHzに定め、MFJ−269での測定ではSWR-=1.4となりリターンロスは15.8(dB)で僅か5.9%に過ぎなかった。

非接地アンテナに対しては多少の負荷を持たした方が総合的にアンテナの性能が良いように思うが、これ以上いじりまわすと基本的なループアンテナから逸脱してしまい現状維持で終了とする。

F/Bと利得の関係図では435MHz付近で直線が交差しているがほゞ平行線を示す。さらにFM帯430MHz帯において17.0(dBi)付近で納まっているのには驚きである。

最後に50オームのインピーダンスは純抵抗分とリアクタンスとが合成されたものと認識していないと誤解を招く。インピーダンスが50オームであってもSWRが1.0とは限らないのに注目する。

どんなアナライザーでも同じであるがMFJ−269ではVU帯のFM430MHz帯以外は純抵抗(R)とリアクタンス(X)の表示が可能であるが430MHz帯に置いては(X)の表示がない。VU帯程の高い高周波になると(X)成分の測定は5万円前後の測定器では無理のようだ。よってこれを補うために自作の430MHz帯専用の電界強度計で利得の有無を観察する。

さらにパターン図でF/B 比 25.21(dB)となっている数値である。作者自身、シュミレーションでこれ程のデータが算出されるとは考えていなかった。実際に検討するに値するデータであったので制作する事となった。

最後に430MHzFM帯100ミリワット送信にて良い結果がでる。埼玉県日高市白銀平(標高約170メートル)より変形9エレWループアンテナでの成績は栃木県謙信平からVTJさん(64Km)、千葉市美浜区からIOEさん(79KM)、茨城県桜川市からPZTさん(84Km)、共に59のレポートを得る。南房総市峰岡林道からLLIさん(108Km)より59+を得る。LLIさんはに富士山反射、実際には熱海方面からの変調であった。さらにやや混信気味であったがF/B比が示すように進行方向からの聴感は素直に聴こえた。

クリックすると拡大します。 変形11エレWループアンテナ

また、サイドのキレは今までの多エレメントのような鋭い切れはないが3エレループのような相手方の変調の方向を定めるのに扱いやすかった。Wループ効果であろうか。後方側では完璧に機能を発揮しうるさい物が消えていた。これもF/B比=25.21(dB)の数値が物語っているのだろう。

さらに驚いたのには笠間市からの変調が入感しメリット5で聞こえる。筑波山系で遮断され聴こえなかった変調が入感する。残念なことに先方の事情で相手にされなかった。ブーム長1メートル短いアンテナであってもWループでエレメント数を増加し開口面積を広げることによりこのような効果が得られたのだろう。

変形Wループアンテナも9エレから11エレへと進みこのたび完成する。Wループ間は1/8波長の間隔で4ヶ所設置し総エレメント数を11エレメントとした。11エレにおいてはSWR値はさほど重要とせず、電界強度を優先しさらに433.0MHzをヌル点とすることに全力を尽くす。その結果SWR値が1.7であった。リターンロスを加味してもアンテナとして問題にする程の数値(データ)ではない事がわかった。

一度、SWRを1.3まで落したが電界強度は今までの並のアンテナと同じであった。材料やアンテナの構造、作り方によってSWRが変化するのでこれが減少したからと言って理想のアンテナではない。やはり飛んでナンボ! 電界強度の指針が2メモリも右に振る位置で設定しやっとの事、変形11エレWループアンテナが完成した。SWRが1.7で不満ではあるが飛んでこそアンテナの真価が問われる。